- 大豆 - 大豆 - 栄養・成分
食品に含まれている栄養成分の中で
気になるものを1つあげてください。
そんな質問をされたら
あなたは、何と答えますか?
炭水化物?
たんばく質?
それとも・・・・・?
もし、その答えが脂質であれば、
この後の内容は、あなたにぴったりかもしれません^ ^
大豆は大豆油という油の原料になるほど
多くの脂質を含んでいます。
ここでは、その脂質の特徴や、
脂質を構成する脂肪酸についてまとめました。
大豆の持つ脂質の特徴
大豆の栄養成分は、たんぱく質はもとより
脂質を多く含むことも特徴の1つです。
これは、種子が発芽する時のエネルギーを
脂質として蓄えているからです。
※同じ豆類でも、小豆は炭水化物として貯蔵しています。
さらに、この脂質には、リノール酸やαーリノレン酸といった
多価不飽和脂肪酸を比較的多く含んでいるという特徴があります。
【参考】
国産黄大豆(乾燥)100g中の脂肪酸含有量
飽和脂肪酸 2.59g
一価不飽和脂肪酸 4.80g
多価不飽和脂肪酸 10.39g
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
脂肪酸について
脂肪酸は、脂質を作っている成分で、
体内に入ると、エネルギー源として蓄えられます。
その働きは、細胞膜の生成やホルモンバランスの調整、
ビタミンの吸収を助けるなど、とても重要なものです。
また、脂肪酸は、主に、炭素の数や炭素鎖の結合の数
(二重もしくは三重結合という分子構造があるかどうか)で分類されます。
◎炭素数による分類
- 短鎖脂肪酸:炭素数が7以下のもの
- 中鎖脂肪酸:炭素数が8~10のもの
- 長鎖脂肪酸:炭素数が12以上のもの
◎炭素鎖の結合の数による分類
- 飽和脂肪酸 :二重・三重結を持たない脂肪酸
- 不飽和脂肪酸:二重結合以上の構造を持つ脂肪酸
さらに、不飽和脂肪酸は、二重結合の数によって
- 一価不飽和脂肪酸:二重結合を1つだけ持っているもの
- 多価不飽和脂肪酸:二重結合を2つ以上持っているもの
という分類がなされます。
そして、近年よく耳にするようになったトランス型脂肪酸ですが、
これは不飽和脂肪酸の一種です。
不飽和脂肪酸には、上記とは別の分類方法があり、
炭素に結合している他の原子(分子)が
- 同軸上にあるものを「cis(シス)型」
- 対角線上にあるものを「trans(トランス)型」
と呼んでいます。
リノール酸とα-リノレン酸
話を大豆に戻します。
大豆の持つ、リノール酸やα-リノレン酸は、
必須脂肪酸と言われ、私達の体にとって必要不可欠な栄養素です。
※必須脂肪酸:必要量を生体内で合成できないため、
食事によって摂取することが必要とされている脂肪酸のこと
リノール酸はω(オメガ)6、α-リノレン酸はω3の必須脂肪酸とも呼ばれます。
※ω3・ω6:n-3系・n-6系も同意
必須脂肪酸には、
- 細胞膜の形成要素になる
- 悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを増やす
- リン脂質の主要成分となる
などの機能があり、
成長や健康維持のために無くてはならないものです。
ω3の脂肪酸には、
抗がん作用、血圧降下作用、血小板の凝固抑制効果、
脳や神経組織の発育・機能維持、アレルギー症状の改善など
といった、さまざまな効果があります。
※ω3脂肪酸:α-リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)
ω6の脂肪酸はどうなのか?というと
生体内環境を維持するために、不可欠な脂肪酸になります。
リノール酸が、血中コレステロールを下げる効果がある
という話を耳にしたことはありませんか?
それだけに限らず、
生体内の恒常性維持に大きく関わっている脂肪酸です。
ただ、取り過ぎると、
善玉コレステロールを低下させてしまうので注意しましょう。
一瞬、えっ?!っと思いませんでしたか?
「善玉コレステロールを低下させる」という言葉に、
なんとなぁ~く、嫌な感じがしたかもしれません。
でも、ここだけを切り取って、
じゃぁ取らなければいいじゃん!
なんていう発想は、持たないでくださいね。
リノール酸とα-リノレン酸は、
どちらも欠かすことのできない脂肪酸です。
リノール酸を過剰に摂取した場合、
- アレルギー症状の原因となる
- 血小板を凝集させる(血栓ができやすくなる)
- 様々な炎症を起こす
などの障害を生む可能性があります。
ここで、α-リノレン酸(ω3脂肪酸)の役割を見てください。
まるで、正反対なことが解るかと思います。
仮に、リノール酸を過剰摂取したとしても、
その悪影響に対して、α-リノレン酸がとても有効な働きをしてくれます。
ここが解ると、先程の不安が
少しは軽くなったのではないでしょうか。
とはいえ、やっぱり大事なのはバランスです!
理想的なバランスは、
ω6:ω3 = 4:1 程度とされています。
ちなみに、大豆から作られる大豆油のバランスは
5:1~7:1の割合だそうです。
リノール酸は、普段の食生活だけで
必要量が摂取可能なものと言われています。
※揚げ物や炒め物に使う油(植物油)に、リノール酸が含まれているため
バランスを取るためには
α-リノレン酸を意識して摂取するといいでしょう。
α-リノレン酸は、亜麻仁(亜麻の種子)や、くるみ、えごま、
青魚(アジ・イワシ・サンマなど)に多く含まれています。
個人的におススメしたいのは、青魚です。
なぜか?というと、青魚にはDHAやEPAが多く含まれているからです。
この2つの成分は、
体内に取り込まれたα-リノレン酸からも代謝されます。
ただ、その量が必要量に満たないため、
食物から摂取することが必要となっています。
大豆と青魚・・・
ふっと、粗食と呼ばれている
日本の食卓が浮かんできました。
焼いたサンマに大根おろしを添えて、
野菜の煮物とお新香、そして味噌汁に白いご飯。
決して豪華ではありません。
ただ、身体の事を考えると、
なんだか、とてもいい組み合わせのように感じたところです。
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豆知識(大豆の栄養素)/ 太洋物産株式会社
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